研修事例

研修実施機関

実施機関団体名 財団法人食品産業センター
住所 〒107-0052 東京都港区赤坂1-9-13 三会堂ビル3F
電話番号 03-3224-2386 FAX番号 03-3224-2398

要 約

1.はじめに

 当センターでは平成22年7月22日の開校に引き続いて8月6日、8月7日に早速1泊2日の実地研修を行いました。さらにスケジュールに従い、この後9月3日、4日には青森県八戸市に行き農商工等連携事業計画第1回認定の株式会社ディメール社の社長様及び共同申請者であるJA十和田おいらせ(旧JAはまなす)の組合長さん等からのお話を聞きました。また、協力関係にある漁協等を訪問して船で海に出て牡蠣の養殖現場等を視察したり、加工場を見たりして研修を重ねております。

2.実地研修を早くしたねらい

 今回このように早い時期に実地研修を取り入れたねらいは2つあります。1つ目はできるだけ早い時期に研修生同士の交流を図り、限られた期間内で確実に人的ネットワークの確立を実現すること。2つ目は、研修生の大部分があまり知る機会のない生鮮3品(青果、食肉、鮮魚)の物流の現状や価格の成立過程を学び、農商工連携に当たり最低限の知見を得て全員のベクトル合わせを行うことにあります。
 第1の目的を実現するために全員が一堂に会して話し合いの場をつくることが必要との考えのもとに、まず、“飲み会”の場を意識的に設けました。それもただ飲み会だけでなく、スケジュール表にあるように農商工連携の事例としてお話を頂いたAPカンパニーさんが展開する居酒屋「塚田農場」で農家との連携により調達している鶏の飼い方や、その料理へのこだわり、社員教育の仕方等についてのお話を聞きながら、かつ、楽しみながら、あくまで研修の一環として行いました(もちろん飲食代は自己負担です。)。その後、グループによってはホテルに帰ってから早朝までの話合いが行われたとのことでした。
 第2の目的については、市場に入り、競りの実際を目にすることで今まで考えもしなかった世界を見ることで驚いた、という人もおります。また、食肉と青果では同じ競りとはいえ食肉では電子掲示板を活用した競りであり、かたや青果は競り人と仲卸(買参人)とでのやり取りが興味深かったようです。

3.実地研修で学んだこと

(1)食肉市場
 食肉市場においては、生体で700/kg前後の牛が、解体されて枝肉となると500/kgとなり最高に近い値段の2,000円/kgがついたとしても100万円しかならず、餌代約25万円、素牛費(子牛)30万円~50万円、農協への手数料、と畜費それに飼養費等々を際引くと、農家の手元にはいくらも残らないという説明には皆が驚きの声を上げていました。

(2)大田市場
 青果の大田市場では、市場流通の80~90%が相対取引となっており、わずかに残り10~20%が競りで値段が決まっているのが現状との説明を受けました。また、買い手側(スーパーマ-ケット等)の力が大くなっており、仲卸の経営環境は悪化しており例えばトマトの専門家としての品揃えを充実するとか、特定のレストラン向けに色を揃えたり硬さを揃えたりするといったような個性を出す工夫がないと生き残りができない状況にあるとの説明を受け、青果流通の現状の一端を垣間見た感がします。

(3)生産者―梨農家
 市場見学の後では、梨農家を訪問して若い経営者から現状と今後の展開等をお聞きしました。防鳥のためのネットを張るだけで1,000万円/haかかるとか、大型のトラクターや農薬散布機のための機械等農業には高額な資金がかかるといった現状をお聞きして農業の経営の大変さを知ることができました。 一方で、生産する梨は全量自社のダイレクトメールや直売所の固定客で、しかも、いわゆる規格外品も全てを売り切ってしまうといったお話や、今後は海外への販売にも挑戦したいとのお話には、農業も意志と挑戦する気力があればまだまだ可能性は高いと覚えました。
 青森県八戸市の株式会社ディメール関係では、農商工連携の取組みの背景や現状及び成果、問題点、課題等々について、当事者から直接にいろいろとお話をお聞きすることができました。単なる冷凍ずしといった物つくりだけに留まらず、想定外の成果として地元の複数の漁協との新たな連携や漁協同士の輪が地域で広まっており、本事業が起爆剤となって地域の活性化に大きく寄与しだしていることが印象的でした。
 このようないくつかの現場視察を重ねたことで今後の座学への取組み方にも大変参考になること大だと確信します。

4.実地研修に大切な事前打合せ

 研修をさせていただいた関係者の方々には講師としてお話を頂いた専門家以外の方々からも大勢の方から丁寧でご親切なご協力を頂きました。特に、八戸での研修日9月4日は、土曜日であり漁協も市役所も本来なら休日にも係らず、担当課長さんのご出席を頂き質疑応答ができたのは大変ありがたいことだと感謝の気持ちで一杯です。聞けば遠隔地であるにも係らず食品産業センター事務局の担当者が事前に現地を訪問して、本研修のねらいと趣旨を説明されたとお聞きしました。事務局の骨惜しみのないご苦労に感謝を申し上げます。

(コーディネータ:加藤寛昭)