研修事例

研修実施機関

実施機関団体名 国立大学法人信州大学産学官連携推進本部
住所 〒390-8621 長野県松本市旭三丁目1-1
電話番号 0263-37-2075 FAX番号 0263-37-2076
受講生人数 40名(直売所・加工所関係者、農林漁業者、中小企業者、行政関係者、学生等)

要 約

●テーマ

【信州直売所学校】農商工連携の中心!“農産物直売所”次世代・連携キーパーソン育成事業
農産物直売所にスポットを当て、農商工連携事業を担える次世代の直売所運営者と、連携事業をコーディネートできる農・商・工、各分野の担い手の育成を目指す。

1.動機と目的

 当大学は、大学本来の目的である教育・研究に加え、平成16年、『産学官連携推進本部』を設置し、地域貢献のための産学官連携にも力を入れている。さらに平成20年8月には、県内19校の高等教育機関が連携して『信州産学官連携機構』を立ち上げた。分野・地域を越えた連携により、信州(長野県)の特徴を活かした地域振興及びイノベーションの創出を推進・強化している。同機構は、「ナノテク・材料・IT」、「ライフサイエンス」、「地域ブランド」の3分野で構成され、特に、「地域ブランド分野」では、農商工連携活動の支援を積極的に実施し、大きな注目が集まっている。
 本事業では、特に農商工連携原型形態であり、今日の地域においてキーポイントとして重要な位置を占めている“農産物直売所”にスポットを当て、多角的視野を持ち農商工連携事業を担える次世代の直売所運営者と、直売所運営者とともに連携事業をコーディネートできる農・商・工、各分野の担い手を育成することを目的とする。

2.研修内容

 当大学では、8月6日~1月27日の約6カ月間、月平均2回、計51時間にわたり研修を行う。カリキュラムは、全国中央会が作成した基本テキストをベースに、講義内容により直結したテキストを適宜作成して使用する。具体的には、①直売所の理念と実践的ノウハウ、②学問的基礎付けによる視野の拡大(直売所事業や農商工連携による地域振興等)、③リーダーに求められる各種専門領域(マーケティング、食品衛生学、商品開発等)の習得を目指した内容となっている。実地研修やプロジェクト活動等に注力し、座学に留まらず、実践的に学べる内容となっている。講師陣は、幅広い見識と実践的な運営ノウハウを持った、農業経済や食品開発、地産地消などを研究する当大学や県内大学の教職員、県内外の直売所経営者らで構成されている。
■講義研修
 直売所の理念や実践的ノウハウ、農業分野の知識はもちろん、食と農による地域振興に必要な経営やマーケティング等にも重点を置き、多角的な視点を習得できる講義内容とした。また、県外の特色ある農産物直売所3カ所の視察を実施し、取り組みの現状を把握した後に、ブランド・マーケティング戦略等の観点から講義を行うことで、より実践的な理解を得られるよう工夫している。
 さらに、ロールプレイング研修では、受講生の所属する直売所・加工所を中心に4カ所程度の検討対象を決定し、その強み・弱みに関するSWOT分析を行い、より発展させるためのビジネスプランを立案する。また、実地研修における「長野県産直・直売市」のビジネスプラン創出もテーマとしている。
■実地研修
 全国の手造り加工事業の模範となっている「小池手造り農産加工所」で、高品質食品の手造り加工の方法を体験する。また、長野県で開催される「全国直売サミット」並びに長野県とJRグループ等が主催する「長野県産直・直売市」において、受講生自らが直売所を出展し、販売体験する。講義研修で学んだ内容をより実践的に応用・検証できるよう工夫を凝らしている。

3.成果(今後考えられる成果目標)

 本研修では、農商工連携を実践する際に必要な計画立案、商品構想、マーケティング戦略、知的財産戦略等の実務的スキルを習得することができる。また、農商工連携を推進する人々や企業、公的機関との強固な人的ネットワークを形成することができ、今後の事業推進時に大きなメリットとなる。さらに地域においては、農商工連携のコーディネート力を有する直売所の若手人材、農商工各分野の若手人材が育成され、直売所等を中心とした、連携強化、新商品開発や販売拡大等が期待できる。
 当大学としても、他県の産学官連携支援機関に呼びかけ、地域間連携のための懇談会、新商品開発のためのマッチング等を開催し、受講生や派遣企業へフォローアップをするとともに、活躍の場を得られるようサポートする予定である。

4.研修視察より(研修の内容・様子、受講生や研修実施機関の声など)

 8月26日(木)は、第2回目の講義研修であり、受講生38名の参加のもと講義が行われた。当大学では、当初30名の受講生を予定していたが、予定人数を大幅に上回る90名の申込みがあり、研修に対する熱意に満ちあふれている40名を受講生として受け入れている。また、行政等の支援機関を中心に12名の聴講生枠も設け、本研修をより活用できる体制を整えている。
 まず、最初の講義では、信州大学副学長・人文学部笹本教授により「地域の伝統文化と食・観光」をテーマとして、食と農による地域振興を進めるためには、“地域の伝統文化・食・観光資源を学ぶ(知る)必要がある”という考えのもと、飯山市小菅や高遠町の例を中心として講義が行われた。地域の文化を知り、その土地に住む人々が地域資源に自信を持つことによって観光が発展し、さらには地域おこしの原動力となる。また、マイナス面をプラス面に発想を転換させることで新たなビジネスチャンスにも繋がっているという内容は、これから地域で直売所を経営していこうとする受講生にとって、自らの地域を見つめ直し、視野を広げるきっかけになったと思われる。
 続いて、たてしな自由農園の山本代表を講師として、「産直市に向けたビジネスプランづくり」というテーマでロールプレイング研修が行われた。直売所経営には、顧客ニーズに対応した品揃えと販売力強化のために地域連携が大切であり、また、産直市等のイベント(信州・松本そば祭り)出店時における留意点として、売上計画、商品計画、販売計画の必要性やポイントについて講義が行われた。その後行われたワークショップでは、受講生が9グループに分かれ、実地研修で販売体験する「長野県産直・直売市」において自らが出品したいと考えている食品を受講生自身が持ち寄って、なぜ出品したいと考えたのか、販売価格はいくらにするのか等について、グループごとに試食をしつつ、積極的に意見交換を行った。最終的には1グループの中で1品“特選”を選出し、意見交換した内容について各グループの代表者がプレゼンテーションを行った。当講義では、自ら直売所を経営する山本代表のこれまでの経験に基づいた講義の後にワークショップを実施することで、考え方のポイントや方向性が導かれ、受講生にとってより充実した研修になったと思われる。
 終了後、受講生からは、『地場産品の背景にある地域の伝統文化を知ることは、その産品の付加価値を引き出す材料となるのかもしれない。』『単に直売するだけでなく、何を売り、何を伝えていくのか等、いろいろな視点から捉えていくことが必要だと思った。』『“マイナスは必ずプラスに転化できる”という話がとても印象的だった』『「長野県産直・直売市」に向けて、検討しなければならない点が明確になった。しっかりとした計画を立てて、実地研修に望みたい。』等の声が寄せられるとともに、『信州の直販は季節に左右されるので、特に冬期アイテムの整備に触れて欲しかった。』という要望も寄せられた。