研修事例

研修実施機関

実施機関団体名 熊本県中小企業団体中央会
住所 〒860-0801 熊本県熊本市安政町3番13号
電話番号 096-325-3255 FAX番号 096-325-6949
受講生人数 34名(※中小企業経営者16名、農業者4名、行政1名、中小企業診断士など9名
新規就業希望者2名、農・林・漁・中小企業関係支援機関2名)

要 約

●テーマ

高度で多様な農商工連携を支援するコーディネータの養成

1.動機と目的

 健康志向を背景とした機能性食品や農業の多面的機能への関心の高まりから農業・食品産業への注目が集まっており、流通・小売・観光等の多様な産業と互いに強みを発揮して有機的に連携し、付加価値づくりや販路拡大への期待はますます大きくなっている。しかしながら、農商工連携分野においては、依然、中核的に連携を推進する人材が不足している。さらに農商工業者のマッチングに関する情報や機会の不足といった問題もあり、これら問題の解決が地域の喫緊の課題となっている。
 そこで、地域の優れた資源を活用して、地域の農商工業者が連携して創意工夫による新商品や新サービス等の研究・開発、販路開拓など新たなアグリビジネスの構築等を展開していくために、連携事業の中核となる人材を育成する。具体的には、農商工連携の推進に必要な支援スキルを習得し、農商工連携の牽引者となる優れたコーディネータを養成していく。

2.研修内容

 研修は、1次産業の実態把握を基本として農商工連携のノウハウや販路開拓やマーケティング手法の習得に重点を置いた構成となっており、平成22年9月29日から10月22日までのおよそ1カ月の期間で9日の講義研修と1泊2日の実地研修が組まれている。
■講義研修
 講義は1日あたり6時間である。農商工連携の制度、コーディネートのポイントからマーケティングまで幅広い知識提供が意図されてカリキュラムが構成されている。「連携ビジネスの実際」といったテーマで、ケーススタディとして具体的な事例が紹介するために6時間の講義時間が設けられている。さらに3日間合計18時間をワークショップ形式で農商工連携のビジネス企画を作り上げるカリキュラムが特徴的である。講義研修、実地研修で得た知識を活かして農商工連携に関する高度なビジネスマッチングのノウハウを修得できるカリキュラムとなっている。
■実地研修
 実地研修では2日間で5カ所を視察するカリキュラムとなっている。農産品や特産品等の地域資源を活用して新商品・新サービスの開発・提供を行っている企業において体験学習を実施することの他、農商工連携促進支援策の認定企業からの現地講義によって連携の実際を学ぶ機会を設けている。

3.成果(今後考えられる成果目標)

 研修を通じて多様な業種の現状と課題を認識して、新たな連携の糸口ができる。また高度なコーディネート能力を備えた有能な人材を育成することでさまざまな分野での連携によるビジネスチャンスを生み出すことができる。34名の受講生の3割を1次、2次、3次産業間連携による新商品開発や販路開拓などに取り組む高度なコーディネート能力を習得した人材として農商工連携事業に取り組む企業や行政等に支援者として紹介、斡旋していくことができる。

4.研修視察より(研修の内容・様子、受講生や研修実施機関の声など)

 研修プログラムは、グループワークによる新たな農商工連携事業の企画とその成果発表が最終フェーズとなっている。
 34名の研修生は、5ないし6人で構成される6つのチームに分かれて、農商工連携の新事業企画提案に取り組んだ。生産者の他、中小企業者、支援者、プランナーなどで構成されるグループでは、生産者が生産する製品をベースとして新たな事業を考案していた。実地研修を挟んで行われたわずか5日のワークショップであるにもかかわらず、研修生たちは、短期間のうちに企画プランニングの技法を学ぶとともに、連携に欠かすことのできない生産者サイドの意見、営業販売サイドの意見の調整とその難しさを、身をもって知ることができたようである。
 最も大きな成果は研修者同士の人的交流が深まったことである。ロールプレイを組み込んだワークショップを行っていくなかでお互いの理解が進んだと思われ、会場全体に打ち解けた雰囲気があった。グループ構成員の組み合わせ方、例えば生産者を分散させてできるだけ多くのグループに入れるなど、ワークショップの運営には事業主体の配慮と工夫が見られた。 研修生は様々な思いをもって参加していたが、70名を超える応募のなかから選ばれた状況であることを自覚しており、すべての人が積極的かつ熱意をもって取り組んでいる点が大変印象に残った。これは、農業という新たな分野への進出を考えている鉄鋼関連企業の社員、ブランド化を図りたいというみかん生産者など、参加者が明確な目的を持っていることが議論を盛んにした要因と思われる。
 発表された企画には、熊本県の特産物であるイ草、トマト、みかんを取り上げた事業、熊本県で盛んな有機農産物に着目した事業など多様なアイディアが提案された。良質な素材を発信しきれていないというマーケティングの問題を取り上げたグループが多かった。生産者にとっては、新たな視点を提供されることで、連携による新展開の可能性を見ることができる。また、その他のメンバーにとっては、農産物について知る格好の機会となっているところが高く評価できる参加者のやる気が、人脈づくりと研鑽の成果を効果的に生み出していた。