研修事例

研修実施機関

実施機関団体名 国立大学法人山形大学農学部
住所 〒997-8555 山形県鶴岡市若葉町1-23
電話番号 0235-28-2803 FAX番号 0235-28-2812
受講生人数 75名(農業者、中小企業経営者・従業員、支援機関、新規就業者、行政、学生等)

要 約

●テーマ

”おしゃべりな畑”実践講座
生きた文化財、山形在来作物を畑から学ぶ

1.動機と目的

 山形県は米・果樹を中心とした農作物の生産県であり、これまでも果樹の加工や野菜の漬け物等で農商工の連携は行われてきた。そのような中で当大学農学部を中心に平成15年11月、山形在来作物研究会が立ち上げられ、山形県特産のさくらんぼ「佐藤錦」や、枝豆「だだちゃ豆」をはじめ、県内には150を超える種類の山形県に由来する在来作物が確認された。在来作物は季節や地域に限定されながら、その風土や環境になじみながら変遷し、地域の貴重な食材として育まれ、「生きた文化財」として近年注目を浴びている。しかし、その在来作物の栽培、利用は極々限定されたものであり、藤沢周平の小説や「おくりびと」に代表される映画の舞台でもある当県に、今後増大することが予想される人の交流等と、在来作物の利活用に大きな期待が持たれている。
 本事業では、当大学農学部の持つ知的シーズ「在来作物研究会」を活用することにより、山形在来作物の作り手の増加と農商工連携で販売、加工、利用の促進を図り、未解明な機能性成分の解析を基に高付加価値化の推進を目的としている。在来作物を活かした農工商連携を進め、起業できる人材を育成したい。

2.研修内容

 当大学では6月29日~12月21日の約6カ月間、月平均4回、計73.5時間にわたり研修を行う。カリキュラムは全国中央会が作成した基本テキストをベースに、講義内容により直結したテキストを追加作成して使用する。在来作物の新たな魅力を探求しビジネス展開を図るため、“機能性成分”、“美味しさ”という視点を取り入れながら、実際に作物を育て、収穫することで実践的に学べる研修内容となっている。また、在来作物の栽培、販売だけでなく、加工や料理開発にも重点をおき、在来作物を利用した商品提供を行っている県内外の飲食店や加工場経営者、認定支援も可能なコンサルタントを中心とした講師陣による研修カリキュラムで構成されている。
■講義研修
 農業分野の知識を深めるとともに、山形在来作物の歴史や食農文化、在来作物の全国展開に向けたITなどの活用戦略、マーケティングや栽培にも重点を置き、在来作物の新たな魅力を探求しながらビジネス展開を図る視点を習得できる講義内容とした。また、東京都内の山形県農産物販売所において販売研修を行い、販売戦略の理解を実践的に取得できる講義内容となっている。
■実地研修
 在来作物の栽培や利用、販売、加工、料理開発に重点を置いた研修内容となっており、受講生が実際に一品目ずつ作付けを行い、受講生同士で情報交換を行いながら在来作物の特性を把握する。また、現地栽培者の團場研修や焼き畑栽培等を体験することで、生産者の在来作物に対する”思い”の理解に努める。さらに、農作物販売所の視察を行い、東京都中央区銀座にある山形県のアンテナショップ「おいしい山形プラザ」において販売実習を実施する。講義研修で学んだ内容をより実践的に応用・検証できるよう工夫を凝らし、在来作物の全国展開の可能性を探る。

3.成果(今後考えられる成果目標)

 本研修では、山形在来作物の生産、販売、利用、加工に関わる異業種や講師、研修実施機関、団体等との外部ネットワークが充実し、農商工連携を実践する際に必要な計画立案、商品構想、マーケティング戦略、知的財産戦略等の実務的スキルを習得することができる。また、それぞれの取り組みの拡大が起業にとって大きな役割を果たすことで、担い手となる人材の育成にもつながり、新たな食農産業が活性化される。さらに地域においては、在来作物の理解が進むことによって、在来野菜の全国展開販売など広範な利用拡大が図られる。
 受講修了者のうちから希望者を募り、ワークショップを開催することで、在来作物を活用したビジネスプランを作成した。当大学としては、そのプランを実行する際に専門家をコーディネートとして紹介することで、今後の農商工連携に取り組みやすい環境づくりをサポートする予定である。

4.研修視察より(研修の内容・様子、受講生や研修実施機関の声など)

 10月26日(火)は、第3回目の実地研修であり、当大学農学部付属やまがたフィールド科学センター流域保全部門の協力のもと、同部門の演習林にて在来作物である赤かぶの収穫体験が行われ、当日は主婦を始めとする22名の受講生が参加した。
 演習林では、山林の伐採跡で「焼畑農業」と呼ばれる農法を用いて栽培された山形県の在来作物である赤かぶの収穫体験を行った。同部門コーディネータによる指導のもと、受講生は3つのグループに分かれ、収穫、洗浄、選定・袋詰め等の作業を各グループごとに担当した。まず、山林の斜面に植えられた赤かぶを収穫し、不要な葉や根の部分を切り落とす。そして収穫された赤かぶを洗浄した後、その中から規格に適した大きさのものを選定していき、出荷のため袋詰めにするといった流れである。ここで栽培された赤かぶは、キロ単価220円で鶴岡市内の漬け 物業者へと出荷され、当大学との連携も行われている。
 当日は悪天候、低気温にもかかわらず、受講生は意欲的に研修に取りかかり、本研修に対する熱意が伝わる実地研修であった。
 終了後、受講生からは規格外品の有効活用や農商工連携の今後に向けた取組みや課題等についての情報交換が活発に行われ、受講生にとって非常に有意義な研修になったと思われる。