研修事例

研修実施機関

実施機関団体名 社団法人中小企業診断協会福岡県支部
住所 〒812-0046 福岡県福岡市博多区吉塚本町9-15 福岡県中小企業振興センター10階
電話番号 092-624-9677 FAX番号 092-624-9678
受講生人数 49名

要 約

●テーマ

成功する農商工連携の事業計画策定のための実践指導人材育成研修

1.はじめに

 当団体開催による研修に講師として参画する機会を得た。今回の中小企業診断協会福岡県支部の事例に当たっては、講師として参加した立場から研修全体の特徴を述べてみたい。

2.概要

 私に課せられたテーマは商品開発であったが、当研修の全体を通じたカリキュラムは以下のように大変ユニークでかつ目的が大変明確であることが特徴的である。すなわち農商工連携の必要性と推進に当たっての課題等の研修や、農林水産業についての基礎的知識の習得、あるいはマーケティングや製品開発等々に関しては他所と同じくするが、後半の座学とロールプレイング研修において、研修終了者が、難しいといわれている農商工連携事業の計画書作成ができるまでの訓練を図っていることである。
 募集に当たっては、農商工あるいは産・官・学と幅広く声をかけた結果、30名を予定したところ50名を超える応募があった。最終的には上記の目的を実現するために約半数を中小企業診断士やコンサルタント関係者がしめ、後の半分を農、商、工やデザイナー等合計30名で、農商工業者が積極的に交流する機会、場所を提供すべく編成をしたとのこと。

3.カリキュラム構成の背景とその内容骨子(企画書より引用)

 現在、九州地区における農商工連携の認定数は45件である(平成22年3月現在)。しかし、各企業が取り組むに当たって、次のようのような課題が見受けられる。
 (1) モデルとして計画内容が未成熟で支援内容を企業側でよく理解していないケース等がある。
 (2) 企業に対する動機付けが不十分である場合が多い。
 (3) 認定承認後の支援と制度活用が十分でない。
 (4) そのために、認定を受けたままの事業も多聞される。
 そのような事例を見聞するにつけ、事業計画のしっかりとした作り込みと、成熟度に応じた支援活動が必要となる。すなわち、農商工連携の各過程における検討段階で、専門知識を十分に生かした支援が必要である。
 そこで、当機関では農業支援を永年実践してきた経験から、把握した農商工連携事業に係わる上記のような現状にかんがみ、農商工連携の事業診断、連携構築、事業計画作成、事業拡大、経営マネジメント等、「農商工連携事業計画書」の経営面、事業面、運用面およびPDCAサイクルの観点から一連の事業過程を学ぶ。その主な内容は、事例と計画作成の実践を通して学び、支援できる人材の育成を図ることにある。
 実際に農商工連携に取り組む企業者の事業計画書作成を支援する。そのために中小企業診断士の経営診断・課題解決手法により、市場調査、マーケティングに焦点をおき、確実に農商工連携の実現・成果に向けての事業計画書作成に重点をおく。
 次に、実地研修に参加した研修生の報告書を抜粋して掲載する。この報告書からも研修生の問題点の指摘が専門的になっているのが分かる。同時に主催者として留意すべき課題の指摘もみられる。

4.研修生の声(福田農場ワイナリー(注:1)実地研修に参加しての感想)

 事業に成功している経営者の自信と背景を伺い知ることができた研修であった。創業以来、福田社長自らの強い意志と創造によって新しい事業に取り組んだことが、今日の企業グループの基礎となったことがよく理解できた。また、ジュース、バーベキュー、飲食店、ワイン、ビールと事業を展開しているが、いずれも幹から枝を広げるように結果として新しい事業が成り立っていたと考えることができる。社長の言にあるように、多角化ではなく進化の事業展開である。このような経営者の考え方に触れ、事業展開の在り方を理解する点において、非常に有意義な研修であった。
 しかしながら、具体的な経営情報が開示されていないため、企業の経営実態の把握が出来なかったことが残念である。実地研修を行う場合には、財務、販売・仕入、設備、経営組織等、経営に関する基本的な情報を取得した上で、できれば事前にケーススタディとして徹底的に議論をし、質問事項等問題提起を抱えて訪問すればもっと意義のあるものにできると考える。
 今後農商工連携事業として取り組むに当たっては、事業計画、資金計画、販売計画等を具体的に策定することとなろうが、実地研修に当たっては係る計画がどうであっか、それが実際にどのように進められていったのか、課題はなかったのか、等を検証する場であってもいいような気がする。
 また、今回みかんに関する事業については話があったが、当初勝手に想定していたワインやビールの事業については殆ど説明がなかったことが意外であった。農商工連携の対象外であったようであるが、企業や企業グループの中での農商工連携事業であるはずで、事業全体の把握が必要と感じる。

注1:福田農場ワイナリー及び当ワイナリーと共同申請企業である(有)鶴田有機農園及び認定事業の概要については農商工連携認定事業集参照。

(食と農研究所 加藤寛昭)