研修事例

研修実施機関

実施機関団体名 財団法人いしかわ農業人材機構
住所 〒920-8203 石川県金沢市鞍月2-20 石川県地場産業振興センター新館4階
電話番号 076-225-7621 FAX番号 076-225-7622
受講生人数 37名(農業者36名、支援機関1名)

要 約

●テーマ

継続的な農商工連携の取り組みに向けた経営力のある農業者等の育成
地域が有する資源、特徴を十分に活用し、農業経営の発展、安定化、そして地域産業の活性化に繋げていくことを目的とする

1.動機と目的

 石川県の農業は、農業法人や大規模経営農家が比較的多く、農作物の生産が盛んである。しかし、近年の農作物価格の低迷や資材価格の高騰による農業経営の悪化にくわえ、大規模化した経営の次世代への継承、農業従事者の減少・高齢化等様々な問題を抱えている。そこで、地域が有する資源・特徴を十分に活用して、1次産業としての農業から2次、3次産業への事業の拡大あるいは2次産業、3次産業との連携を戦略的に進め、農業経営の発展・安定化、地域産業の活性化につなげていくこととする。

2.研修内容

 研修は、次世代の石川農業を担う若手農業経営者を対象としたAコース(10名)と、農商工連携に意欲的な農業経営者及びJA等担当者を対象としたBコース(15名×2回)の2つのカテゴリーに分けて実施している。コースごとの定員を少人数にすることで、講師と受講者あるいは受講者間の議論や交流の濃密・活発化を図っている。
■講義研修
 農業者が農商工連携に対応できる経営管理等能力を会得できるよう、ブランディング能力や契約・取引、流通販売に関する知識・ノウハウなどに重点を置いて講義を行っている。また、ロールプレイング研修には19.5時間と十分な時間を充て、受講者自らの具体的な課題を踏まえたビジネスプランの策定を行うと共に研修後も継続できるネットワーク創出に向けた受講者の相互理解を図っている。
■実地研修
 今後の農商工連携を実践できるように、商工業者の取り組みを視察し、商工業者の視点や考え方、商品の管理手法等を学べるよう工夫を凝らしている。

3.成果(今後考えられる成果目標)

 受講者及び受講者を派遣した農業経営体においては、農商工連携等による新たなビジネスプランの構築が図られるほか、研修を通して築かれる信頼関係により相互に切磋琢磨でき、協働できるネットワークを構築できる。

4.研修視察より

 12月1日「農商工連携の現況と課題」をテーマに、地元で農と連携を組みながら事業を展開・推進している㈱株式会社ハチバンと株式会社セイツーを訪問し、それぞれの事業内容と連携事業推進に当たっての経緯、農との出会い、成果・課題等を確認した。
■株式会社ハチバン
 株式会社ハチバンは、主に飲食店の経営とフランチャイズチェーン事業を展開しており、それらの店舗に供給する食材の加工・販売を行っている。傘下の店舗に供給する野菜の調達のため、年間を通じて同品質の野菜を安定的に調達する大規模農家との契約取引きを指向してきた。現在では餃子だけでも18万食生産しており、それに使用するキャベツ110t/月、ねぎ700t/月、玉ねぎ500t/月と大量使用となっている。その為、野菜ごとに南は九州から東北まで産地リレー方式を実現して通年調達の実現を図って来た。そのような状況下にあって、平成19年12月に食品リサイクル法の改訂があり、食品残渣のリサイクル使用とエネルギー使用量の低減が強化され、それに対応できる施策を講じる必要性が生じた。そのため、自社の工場から出る残渣をはじめ各店舗から排出される残渣を回収して堆肥化を促進することとした。現在では肥料・農薬の供給や種子の指定をしたり、反収を上げるために農家と他の産地に訪問して勉強をしたりと今まで以上に近隣の農家と協力関係を築いている。
 近隣の農家からの調達に拘ると、どうしても収穫時期が集中してしまうので、保冷庫の確保による通年供給が必要となった。そのために約1億円を投じて新たに保冷庫を設けたが、その際には農商工連携事業の適応を受けて行った。このように当社の農家との出会い及び農商工連携事業への取組契機は、先のリサイクル法の改訂にあった。その結果として地産地消の実現にも繋がったといえる。
■株式会社セイツー
 株式会社セイツーでは、主に青果物の調達販売を行っている。契約農家とはウィンウィンの関係を確保し、東京農業大学と提携し土壌分析(27項目にわたり検査を行い、生産者にフィードバックする。)に基づく優良農地での栽培を実現している。代表取締役の奥村氏は、農薬や化学肥料を大量に使用して生産されたものも安全性を指向して減農薬や低化学肥料にもとづき生産されたものも“いっしょくたに”価格がつけられ流通してしまうことに疑問を感じており、志を同じくする農家の連携が必要と考えて会社を設立した。現在は、生産した農産物を適正に評価してくれる販売先を自分で開拓している。
 平成20年には地元のくらた農産(今回の受講生でもある)との共同申請による農商工連携事業にも認定を受けて現在展開中である。
■ 今回の2社の実地研修に参加して感じたことは、いずれも責任者であるトップが農に対して抱いている熱い思いがある。それも自分一人だけでなく志を同じくする仲間、この場合は生産との密接な関係を構築して実現していることを見ることができた。