研修事例

研修実施機関

実施機関団体名 三重県中小企業団体中央会
住所 〒514-0004 三重県津市栄町1-981 三重県合同ビル6階
電話番号 059-228-5195 FAX番号 059-228-5197
受講生人数 30名(中小企業経営者・従業員、農林漁業者、支援機関、新規就業者、行政等)

要 約

●テーマ

農商工連携を促進する“農商工連携事業プロデューサー”研修

ポイント

 平成21・22年に開催した農商工連携等人材育成事業のノウハウを活かし、実践に向けた戦略、スキルの習得に重点を置き「農商工連携事業プロデューサー」の育成を目指す。

1.動機と目的

 三重県と言えば、松坂牛や真珠養殖などが有名だが、その他にも茶の生産高・ヒノキの生産高ともに全国第3位を誇り、水産物についても漁獲量年間20万トン、生産額716億円という全国屈指の漁業県である。しかしながら、松坂牛以外の産品は販路開拓・マーケティング力が必ずしも順調ではなく、知名度もそれほど高くはない。また、県内の中小企業においては、昨今の円高、金融危機などの不安要因の増加により、新たに事業転換や新分野への進出を模索する傾向が表れている。このような中で、農林漁業者と中小企業者が連携し、新商品開発や販路開拓等を協力して行う農商工連携事業は県内産業の発展に欠かせない事業である。当中央会では平成21・22年度における農商工連携等人材育成事業の実施により計80名の研修修了者を輩出した。今年度は本「農商工連携事業プロデューサー研修事業」によりこれまでの受講生のさらなる知識習得、ビジネススキルの向上を目指すことを目的に本研修を実施する。

2.研修内容

■講義研修
 講義研修は、農商工連携事業計画認定のためのノウハウや具体的な新商品開発・販売、新サービスの提供等に重点を置いた計30時間としている。具体的には、講師に大学教授や流通サービス業担当者等を招聘し、農商工連携の理論、農林水産業、中小企業やサービス業の現場の現状についての講義をお願いする。また、独立行政法人(ジェトロ)、弁護士らによる法律や手続きなどの解説も行う。また、ロールプレイング研修は経営コンサルタントを招き、「三重県特産品の販売計画」といったテーマをもとに、1回目は地元の特産品及びその販路を検討し、2回目は、価格戦略を検討する。その後、グループディスカッションを通して具体的な戦略の検討を計6時間行う。
■実地研修
 実地研修は県内の農商工連携有料事業者を視察し、それぞれの事業内容や経営手段等について検討する。具体的には、農産物直売所、大豆・米粉加工所、水産加工所などへの視察を取り入れた計9時間としている。

3.成果目標(今後考えられる成果)

 高度で専門的な知識の習得と本格的な新ビジネス進出へのきっかけづくり、そして、受講生同士の交流機会の場を推進することにより、農商工連携への取り組みの促進・強化などを図ることができる。
 また、今年度の受講生に対しては、農商工等連携促進法の農商工等連携事業計画の認定を目指すことを推進する等、総合的な支援を行うことにより、今後は受講生が取り組む農商工連携による新商品や新サービスに有効的に活用して実現していくことと、三重県中央会の今後の支援業務の拡大と知名度の向上を図ることができる。

4.受講生に対するフォローアップ

 研修修了後の受講生同士の交流、意見交換の場として交流会を定期的に開催する。交流会では、個々の農商工連携への取組み状況を発表し合うことによって、新たな事業を展開するきっかけ作りに役立てることができる。また本会の特徴である組合等の連携組織への講習会等に参加してもらうことにより、さらに強力にフォローアップに努める。

5.研修視察より

 8月24日(水)、独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)農林水産・食品部農林水産・食品事業課安藤智洋氏による講義研修を視察した。ジェトロは、国際貿易に関わる多様な情報を企業に提供することにより、海外ビジネスでの成功を目指す企業にとっては欠かせない機関となっている。
 今回の講義は、「食品の海外進出について~見本市を通じた海外販路開拓~」と題され、ジェトロの数あるサービスの中から「見本市」に絞って、そのノウハウを聞いた。農商工連携で重要なポイントは、付加価値の高い商品を各分野の連携により開発することはもちろんだが、もっとも肝心なことは「販路開拓」である。どれほど優れた商品であっても「販路」がなければ消費者の手には届かない。「海外での販売」は輸出に伴う煩雑な手続き、為替リスク等により敬遠されがちであった。しかし、近年の中国、ベトナムなど東南アジアの発展は目覚しい。高品質で安全なメイド・イン・ジャパンの商品は、特に富裕層向けに高価格でも受け入れられている。海外への販路を考えたとき、大きく4つの方法が考えられるという。
  (1)既存ネットワークを活用して個別紹介
  (2)企業ダイレクトリー、マッチング・データベース等を活用した個別コンタクト
  (3)商段階への参加
  (4)見本市への参加
 それぞれの方法にメリットがありデメリットがあるが、(4)見本市への参加には、次のようなメリットがある。
   ・短期間に多数の潜在顧客と接触できる。
   ・自社の商品の広報ができる。
   ・自社の商品について、現地の視点・嗜好に基づく評価を得られる。
   ・現地の業界のトレンド、同業他所の製品等を知ることができる。
   ・出品企業同士のネットワーク作りができる。
 以上のような説明の後、関連情報収集のためのWebサイトの紹介、支援策・補助金などの活用など、より具体的な見本市への出展方法を学んだ。全体に実務者ならではの細かな解説がふんだんに盛り込まれており有意義な講義であったが、講義時間に対して内容が多すぎるため、やや消化不良な点もあったように見受けられた。
 また、当日の参加者35名のうち中小企業経営者・従業員が12名、一次産業を除く団体・組合等の役職員5名と両者で全体の半数を占める一方、生産者関係は農業者が1名、漁業関係者が2名とやや偏りが見られた。県中小企業団体中央会の事業であるがゆえに中小企業者主体の募集、応募になりがちなのかもしれないが、ロールプレイング等の場において、「商」あるいは「工」に偏った受講生は、「農商工連携」本来の目的が十分に達成できないことも考慮しなければならない。