研修事例

研修実施機関

実施機関団体名 岡山県商工会連合会
住所 〒700-0817 岡山県岡山市北区弓之町1-19-401
電話番号 086-224-4341 FAX番号 086-222-1672
受講生人数 37名(中小企業者、農業者、漁業者、支援機関、求職者、行政等)

要 約

●テーマ

岡山・食と農ビジネス塾

ポイント

 6次産業化や農商工連携、新事業開発に必要な専門的知識を幅広く習得し、新たな連携のコーディネータ役となるべき人材を育成することにより、地域の更なる活性化を目指す。

1.動機と目的

 6次産業化、農商工連携といった新しい取組みを通じ、地域資源を活用した新商品の開発・販売と観光・食を組み合わせた新事業開発に必要なノウハウを幅広く習得することで、農林漁業者や中小企業者による新たな地域活性化を目指すことを目的とする。

2.研修内容

 当会では8月16日~12月6日の約3カ月半にわたり、講義研修(10日間、計38時間)、ロールプレイング研修(3日間、計6時間)、実地研修(3日間、計18時間)を行う。
■講義研修
 講義研修では、食と農ビジネスを成功させるために必要な専門知識を計38時間にわたり習得する。特に農林水産業者と商工業者の実践的な取り組みを支援するため、商品ストーリー作りや加工食品づくりのワークショップに重点を置いた内容としている。また、ロールプレイング研修では商品・サービス企画作成とし、地域の食と農ビジネスのストーリー作りや農産物の流通構造等を、述べ2日間実施することで具体的な企画作成を行う。
■実地研修
 実地研修では、地域農業の現場を実際に体感しながら経営者ならびに現場責任者から生の声を聞くことで、新たな農商工連携ビジネスを成功させるための専門的知識を幅広く習得できるよう、食品製造会社や観光農園等への視察を多く組み入れた計18時間としている。

3.成果目標(今後考えられる成果)

 「6次産業化」や「農商工連携」といった今後の農林水産業者と中小企業者を支える取組みについて幅広い知識と正しい理解を得ることができ、特に地域資源を活用した新商品開発については市場調査から販路開拓に至るまでといった一連の流れに伴う知識を習得することができる。それに加え、県内の支援機関等の外部ネットワークが充実していることで、受講生同士や異業種間、企業間での取引や農商工連携等の新しい取組みを期待することができ、新たに農商工連携に取り組もうとする者、すでに取り組んでいる者同士の連携体が生まれ、今後は「6次産業化」や「農商工連携」による高付加価値商品の開発等を推進していくことができると考えられる。
 また、今年度の受講生35名に対し、新商品の開発や販路拡大への取組みを推進していく人材を10名育成するだけでなく、農商工連携のコーディネーション能力を習得した人材を5名育成する。さらに、受講生と企業によるマッチングの実現目標を5件としている。

4.受講生に対するフォローアップ

 研修修了後は、平成22年度に本会で実施した農商工連携等人材育成事業の修了生にも呼びかけ、修了生同士による新たな連携のきっかけづくりを目的としたマッチング会を1~2回程度行う予定である。また、県内外で行われる地域物産展などへの参加を呼びかけるとともに、新商品の開発や販路開拓等を商工会連合会に登録されている各専門家が連携を図りながら支援していくことで、本事業の修了生が県内各地で「6次産業化」や「農商工連携」を推進しやすい環境を作り、具体的な成果に結び付けやすくする。

5.研修視察より

 9月9日(金)、観光農園「奥大仙ブルーベリー農園」並びに関連施設を視察した後、株式会社かわばた代表取締役の川端雄勇氏による事業説明が行われた。
 当社は建設業を主体としているが、公共工事への依存体質を脱却と雇用を確保するため、当社の位置する鳥取県日野郡江府町内の耕作放棄地を借り入れし、農業へ参入することとなったという経緯をお伺いした。また、当面は我慢の投資と覚悟を決めた農業参入時の苦労、農園経営にあたっての特徴、今後の目標や課題などについて説明がなされた。当社は栽培面積10haという日本最大級を誇る広大な土地を活用し、寒冷地向きのハイブッシュ系と呼ばれるブルーベリーの品種を中心に45品種を栽培することにより、一般的にはほんの数カ月と言われるブルーベリーの収穫時期であるが夏を中心に半年間にわたり楽しめるようにした。栽培方法でも県普及所との研究や失敗の経験からノウハウを確立し、露地栽培などにおいて県特別栽培農産物の認証を取得しており、新商品の開発や新事業の創出を行うとともに、インターネットを通じて全国の消費者を開拓し新たな販路開拓を得ることで、生産物の高付加価値化ならびに農業経営の改善を図っている。さらに、観光農園に隣接するカフェテリア「アペゼ」では、収穫したブルーベリーを使用した焼きドーナツやジャムなどの販売も行うなど、収益性の高い農業が営まれている。今後はブルーベリーだけでなく多種にわたる農作物の摘み取りも可能とするため、現在は栗の摘み取り園(平成24年開園)に向けて整備中とのことである。
 今回の実地研修に参加した受講生37名は、30代から70歳前後と見える幅広い年代層の老若男女であり、取り組み姿勢に差があるのではと多少の心配があったが、全員が真面目な態度で説明を聞き、異業種参入においての課題や今後の展望について意欲的に質問を行っていたのが印象的であった。
 川端社長の実体験をもとに、受講生が一から起業するとなると課題はとても多く、参考にするのは難しいと思われるが、異業種参入に対する熱意や行動力、地域の助成制度や情報網を大いに活用することにより、農商工連携の第一歩を踏み出すことが可能であるということは、受講生にとって非常に参考となる講義であったと思われる。