研修事例

研修実施機関

実施機関団体名 九州大学大学院農学研究院
住所 〒812-8581 福岡県福岡市東区箱崎6-10-1
電話番号 092-642-2971 FAX番号 092-642-2971
受講生人数 43名(※中小企業者、農業者、支援機関、行政、コンサル関連、商業デザイナー、フードコディネーター等)

要 約

●テーマ

加工食品の裾野を拡げて農商工連携ビジネスの市場拡大を実現する人材育成研修

1.動機と目的

①商品開発力を身に付ける・・・優れた技術をもちながらも変化の厳しい消費者ニーズが掴めずに、商品開発で苦慮する地方の食品加工業に対して、新商品開発のアイデアを提供した。
②人的ネットワークを見つける・・・この研修を、農業生産者と食品加工業者が共同で学ぶ場とすることで、関係者の出会いと意見交換を通して新商品の共同開発につながる人的ネットワーク構築の場を提供した。
③経営の仕組みを理解する・・・ゲーム機器を用いてコスト計算の研修を行い、農産品のコスト計算の方法を理解して、P/LやB/Sを活用した農業経営を理解した。

2.研修内容

 研修のテーマは、九州最大の町である福岡市に隣接し、140万人の食材供給基地として農水産業に頑張る糸島市の特産品を使った商品開発(グループワークにて)を行った。グループが開発に取り組んだ商品は、赤米を活かした食材開発、フリーズドライおでん、豆乳チーズ、新柑橘「はるか」を使ったお菓子、ダチョウから造る高級石鹸、アオサを使った食品、個食包装の惣菜つくりの7点である。さらに、具体的な商品開発を行いながら、農商工連携促進法の適用をうけるための申請書作成なども行った。
 研修終了後も引き続き研修講師の助言を得ながら、グループ単位で農商工等連携事業を検討し続ける仕組みを提供した。
■講義研修(※講義研修の概要、ポイント等)
 5つの分野(①機能性食品の可能性 ②食品開発の事例 ③中小企業経営とIT活用 ④地域ブランド ⑤農商工連携のビジネスモデル)で構成。講義研修と実地研修を繰り返すスケジュール構成により、実地研修の疑問点が次の講義研修で解決できる工夫をした。
■実地研修(※講義研修の概要、ポイント等)
①農商工連携コーディネータ体験学習
 フォローアップとして、食品会社の開発担当者を招いてコーディネータ体験学習を行った。具体的には、食品会社の担当者と一緒に消費者ニーズの分析を行い、将来性ある食材情報を集めての商品開発プロセスを体験する場とした。農商工連携コーディネータの仕事とは、農商工連携の現場で商品開発する人たちの活動を支援し、さらに国の助成メニューを活用するためのフォローを、ビジネスマッチングと合わせて提供した。
②実地研修Aコース参加者
 鹿児島の大地で育った芋だけを使った「こだわりの洋菓子」と、空港限定販売に「こだわる売り方」で業績を伸ばし続ける事例から、消費者ニーズを引き付ける「商品開発」と「販売のコツ」を学んだ。
③実地研修Bコース参加者
 ゴミを一切出さない、環境に配慮した植物工場での総菜作りを見学して、エコで安心・安全な食材が求められる食品加工の将来像を学んだ。環境維持コストのバランスを取りながら、必要なコストを吸収できる価格維持のノウハウを学んだ。
④実地研修Cコース参加者
 公共工事が急激に減少するなか、雇用確保の観点から、農業分野に新規参入する土木建設業者が多いが、このような農業分野への参入問題と、新たな可能性について検証した。この実地研修訪問先は、遊休放置された圃場の土壌整備から始めて、各種の農産品を収穫し、それらの機能性に着目したハーブティーづくりをとおして、他者が真似のできない農商工連携を実現している。その独創的な商品開発の事例から、消費者ニーズを上手に捉えた食品開発を学んだ。

3.研修を終えての成果

研修修了後、受講生が企業との連携により糸島産みかん「はるか」を使った新商品開発に着手、これが糸島市から補助金事業として認可され、「まるごとみかんジュレ」や「クリームサンド」などを開発。地元行政のバックアップ体制のもと、2011年7月16日には、糸島市の農産物直売所「福ふくの里」において販売会を実施。販売された商品も、好調な売り上げを記録した。また、惣菜つくりから派生して、糸島の農産品を使った郷土料理として「素麺ちり」の普及をテーマにした事業を受講生が主体となって立ち上げ、同じく当事業も補助金事業として認可された。現在は地元飲食店を中心にメニューに加えて普及を図るとともに、全国的なPRを試みている。
 研修事業終了後も、研修に携わった講師やコーディネーターが主導し、受講生の意欲を汲み上げるとともに、行政への働きかけなど、新商品開発を現実的な事業にするために尽力したことで、成果を挙げることができた。ただ研修を受講して終わるのではなく、農商工連携を形にできた成功事例といえる。今後の取り組みにも期待したい。