研修事例

研修実施機関

実施機関団体名 特定非営利活動法人メイド・イン・ジャパン・プロジェクト
住所 〒107-0052 東京都港区赤坂9-6-30 ルイマーブル乃木坂112号(東京事務所)
電話番号 03-5413-3243 FAX番号 03-5413-3236
受講生人数 28名(中小企業者、農業者、支援機関、学生)

要 約

●テーマ

大消費地東京における農商工連携の在り方について、柔軟な発想力と、巻き込む能力を持つプロデューサーの育成

ポイント

 「既成の商流にとらわれず、柔軟な発想力と消費者・産地双方を巻き込む能力をもち、新しいもの・こと・ひとの仕組みを創造できるプロデューサーの育成」を目指す

1.動機と目的

 農商工連携から地域活性化を目指していくためには、新たな潮流を読み解き、新しい形での都市と農村の共生、仕組みをリ・デザインしていくことが必要である。商品・サービスを含めた地域全体をプロデュース出来る人材、新しい流通の仕組みを構築できる人材がこれからのものづくりには必要である。
 本事業においては、柔軟な発想力と消費者・産地双方を巻き込む能力をもち、新しいもの・こと・ひとの仕組みを創造できるプロデューサーを育成することで、作って終わりの商品開発ではなく、事業経営として様々な商品プランの経営資源を分析し、長期的な商品戦略を立案できる人材を育成することを目的とする。

2.研修内容

 カリキュラムは、共通テキストをベースとし、対象地域に応じたケーススタディとカリキュラムごとに追加テキストを作成して行っている。講義研修では、都市と農村との地域プランニング、農産物産地への協力体制、流通分野の経験が豊富で多様な業種の講師を招くことで、基本的な農林漁業の産業構造と直面している状況を理解し、長期的に継続可能な農林漁業の在り方を探っている。また、実際に消費者目線での商品企画から販売までのワークショップを行い、従来とは異なるマーケットアピールの手法、仕掛けを考えていく。実地研修では、体験実習に加え、地元住民と新規移住者の関わりや、伝統野菜の生産の継続や新商品開発、継承者不足を克服する農業の株式化などを学びながら、実習後は討議の場を持ち、受講生自身の意見や意志を抽出するとともに、受講生同士のコミュニケーションの円滑化を図っている。
■講義研修

■実地研修

3.成果目標(今後考えられる成果)

 生産者側には、単なる原材料として生産物を提供している現状から、付加価値を生み出す仕掛けや仕組み、販路開拓、販売戦略を学び、それを具現化するための外部ネットワークや販売チャネルを作る。また現在農林漁業に従事していない者であっても、一過性で終わらない、地域に根ざした循環型の社会をつくるためのモデルを生み出し実行に移す機会を得られるようにしていく。
 定量的な目標としては、受講生40名の中から、平成24年3月までに消費地と生産者とのマッチングを行う人材を20名育成し、さらにその中から地域プロデューサーとして地域に入り、実際にプロジェクトを立ち上げ商品開発や販路開拓に携わる人材を5名以上育成すること、また協力を得られる生産地での試験的な実地活動を2カ所で始めることとしている。

4.受講生に対するフォローアップ

 当法人は、支部のある各地で継続的にセミナー等を実施しており、連携のきっかけとなるセミナーや懇親会などの情報を共有し、受講生と地域生産者とのマッチングの機会づくりに努めている。また、講師派遣や実地研修を通じて事業を支援していただいた地域との連携をもつ企業の事業に受講生が参加してもらうことで、地域プロデューサーとしての経験や実績をつむ機会の場をつくる方針である。

5.研修視察より

 将来的には地域へ入り、地域プロデューサーとして地元生産者と活動を行うことを視野に入れ、実際に農林漁業の経営に携わる経営者の話を聞き、現場を見ることで、地元住民と新規移住者の関わりや、都市型商店街と生産地との関わりを学ぶことを目的とし、9月17日(土)に、千葉県いすみ市において事業を経営する事業者を訪問した。
【チーズ工房IKAGAWA(五十川代表)】
 千葉県いすみ市で酪農とチーズ製造を手掛けている「チーズ工房IKAGAWA(五十川代表)」を視察した。五十川代表から経営全般、施設概要、酪農事業、チーズ事業等の説明がなされた。
 五十川代表は農業関係ベンチャー企業に勤務の後、スイスで7年にわたり酪農に従事し、スイスの自然と景観に魅了されるとともに、酪農事業の奥深さを知り、帰国後57歳でチーズ工房と酪農事業を手掛け出した。
 いすみ市を事業地に選定した理由や、酪農に併営してチーズ製造を開始した理由、更には事業継続の難しさと醍醐味等について、受講生は熱心に聞き入っていた。特に、経営及び資金調達においては、五十川夫妻から「事業規模は自身の能力に合わせたサイズであるべき。事業資金の調達についても補助金に依存せず、自己資金又は要返済資金で充当し、経営の自由度を担保すべき」など貴重な意見、経験談をいただいた。受講生からは、起業や経営革新を行ううえでの質問が相次いだ。

      

【農産物直売所「なのはな」(子安代表)】
 千葉県いすみ市で農産物直売所と地域特産品直売所を経営している「なのはな」を視察した。子安代表から経営全般、施設概要、販売商品仕入、要員確保、競合状況等の説明がなされた。
 子安代表はサラリーマン生活を50歳で終え、実家の農家を継承するとともに、地域資源である地元産農産物の販売事業に着手した。開業後10年で株式会社化し、現在の来客数は1日当たり平均600~700名、ピーク時には800名、年間総売上高約2億円まで伸長した。近年、近隣に大型スーパーができ売上が減少したものの、客足は戻りつつあるとのことだった。
 受講生からは、販売商品の太宗(おおもと)が安価である実態、品ぞろえのバリエーションがやや狭い実態、生産サイドとの連携が継続できるか否かの疑問、大型スーパーや他店との差別化の推進等について質問が出された。受講生は、販売所事例は馴染みがあるのか、経営全般、商品調達、販促と顧客対策等、積極的かつ具体的な質問も相次いだ。
 今後、研修実施機関においては、受講生自身がプロデューサーとして、より深い知見とノウハウを身につけるため、習得に当たっての環境整備、アドバイスを行う場を設定することが強く望まれるところである。