自民党社会保障制度調査会、年金委員会・医療委員会合同会議において佐藤専務理事が意見陳述

 令和6年11月26日、自民党本部において開催された社会保障制度調査会 年金委員会・医療委員会合同会議に佐藤専務理事が出席し、社会保険制度をめぐる年金・健康保険の被用者保険の適用拡大、いわゆる「年収の壁への対応」等をめぐる問題について、意見を述べた。
 本会からは、以下のような説明、要請を行った。

    〇 10月24日、福井市で開催された「第76回中小企業団体全国大会」においても、労働関係の主要項目として、「社会保険適用拡大や最低賃金上昇に伴う「年収の壁」問題に対する中小企業への支援策を引き続き講じるとともに抜本的な制度改正を行うこと。」を要望しているところ。

    〇 特に、「被用者保険のさらなる適用拡大に向けた短時間労働者の企業規模要件や個人事業所における非適用業種の適用範囲の見直し」については、支払能力の観点から負担に耐えられない事業所が増加することが確実である。令和6年10月から拡大された50人超の企業への影響、特に企業の支払い能力や短時間労働者の労働時間、さらには賃金額の調整具合など、まず1~3年程度の経過を踏まえて、その影響度合いを調査してから結論を出すことが必要である。

    〇 「被用者保険の事業主負担の割合を任意で変更することで労働者の手取り収入の減少を軽減する仕組み」の検討については、厚生年金、健康保険の事業主負担分と労働者負担分は、労使折半であることが法律に規定されており、使用者と労働者の協議により任意で決定されるようになると、中小企業にとっては、人材不足がさらに悪化しそれを常態化させることにもつながる。このような任意制度は、負担余力のない中小企業にとって望ましくない。

    ○ 諸物価高騰や人件費コストの上昇が続くなかで、人を増やしたくても増やせない、賃上げをしたくてもできないという中小企業にとって、これ以上過度な負担とならないよう、従来からの設備投資や社会保険労務士などのコンサル費用だけではなく、「年収の壁支援パッケージの延長」のように、事業者の社会保険負担に直接充てられるような、強固な支援策を講じていただきたい。

      ※ 社会保障制度調査会:会長 田村憲久 衆議院議員
        年金委員会:会長 宮沢洋一 参議院議員
        医療委員会:会長 後藤茂之 衆議院議員

    被用者保険の適用の在り方に関する意見(PDF形式)