政労使の意見交換において森会長が意見陳述

 「政労使の意見交換」が1月22日(月)首相官邸で開催され、全国中小企業団体中央会 森会長が出席した。

 会議では、令和5年11月15日に開催した政労使の意見交換を受けて、中小企業の労務費の転嫁対策の徹底状況などをフォローアップするとともに、2024年春季労使交渉の開始に先立って、労使の方々との意見交換が行われた。

 意見交換において、森会長から、中小・小規模企業の価格転嫁の現状を述べるとともに、労務費転嫁ガイドラインで示された価格交渉申込み様式の周知と「団体協約」等の活用推進、全国中央会会員団体のみならず全国の組合に価格転嫁要請や施策等の周知と取組み等の促進を述べ、さらに、ものづくり補助金をはじめ、賃上げ税制、省力化投資補助金などの賃上げ促進策の継続、2%程度の物価上昇の予見性を高めるメッセージ等を要望した。

森会長 発言内容
 全国中小企業団体中央会 会長の森でございます。新年を迎えた早々の能登半島地震、そして、航空機事故が発生し、亡くなられた方への哀悼の誠と、被災された方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
 
 中小企業が物価を上回る賃上げを実現するためには、労務費を始め未だ不十分な価格転嫁の改善が必要となります。全中配付資料1ページにお示ししたとおり、価格転嫁は、小規模な企業ほど進んでおりません。大企業と中小企業のみならず、中小企業と中小企業の取引、いわゆるサプライチェーンの下位企業の改善が今後の課題となると考えます。
 このため、大企業、労働組合、中小企業が一体となって価格転嫁の改善に取り組むとともに、中小企業が交渉を行う際に雛形として、労務費ガイドラインで示された「価格交渉申し込み様式」の統一的使用や「団体協約・組合協約」制度の活用などの施策を推進することが必要です。

 本日の基礎資料6ページ以下の業界団体の中には、全国中央会の会員のうち182団体が含まれている他、全国に約27,000の組合がありますので、重点22業種を中心に、全国中央会も傘下の組合を通じて労務費ガイドラインの周知と活用や賃上げに向けた環境改善を要請、支援して参ります。

 中小企業が継続的な賃上げを実現するためには、十分な価格転嫁に加えて① 生産性向上と② マイルドな物価上昇が肝要です。賃上げをコストでなく「人への投資」と捉えるのであれば、生産性を向上させ、投資に見合う収益を上げて、賃上げ原資を生み出すことが必要となります。このため、ものづくり補助金をはじめ、賃上げ税制、省力化投資補助金などの支援策継続を要望いたします。
 また、大幅な物価上昇下では、中小企業が物価を上回る賃上げを実現することが困難です。政府から2%程度の物価上昇が続くようなメッセージと政策を打ち出して頂き、消費者と中小企業者の物価に対する予見性を高めて頂くことが肝要と考えます。
 それにより、持続可能な賃上げが進み、従業員へ配分が増えることで、消費が拡大されることとなり、経済全体の好循環が実現できると思います。
 中小企業が有益な人材を確保し、成長を図っていくためには、自社が可能とする最大限の賃上げが必要です。私ども中央会としては、人的投資を進めていくよう全国の中小企業に呼び掛けていきたいと存じます。

 岸田総理大臣からは、デフレ脱却のために物価上昇を上回る賃上げを実現しなければならない。そのためには、中小企業の賃上げが不可欠であり、賃上げの原資となる労務費等の価格転嫁を実現できるよう、全力で取り組むなどの発言があった。

 岸田総理大臣の発言は、首相官邸のwebページを参照。