「トラック運送事業の新しい標準的運賃」及び「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」について

 国土交通省では、物流産業を持続的に成長させるため、本年3月にコスト上昇分を踏まえて標準的な運賃を8%引き上げるとともに、荷役の対価や下請手数料等の加算項目を追加した新たな標準的運賃を告示しました。

 また、今般の物価上昇を乗り越える構造的な賃上げを実現するためには、特に我が国の雇用の7割を占める中小企業がその原資を確保できる取引環境を整備することが重要ですが、その一環として、昨年11月29日に内閣官房及び公正取引委員会の連名で「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」が策定されました。

 道路貨物運送事業者との取引に当たり、本指針記載の以下の項目を踏まえた適切な対応について、傘下会員に対して改めて周知するよう、経済産業省関係団体へ依頼をしています。

【発注者として採るべき行動/求められる行動】
・ ①労務費の上昇分について取引価格への転嫁を受け入れる取組方針を具体的に経営トップまで上げて決定すること、②経営トップが同方針又はその要旨などを書面等の形に残る方法で社内外に示すこと、③その後の取組状況を定期的に経営トップに報告し、必要に応じ、経営トップが更なる対応方針を示すこと。

・ 受注者から労務費の上昇分に係る取引価格の引上げを求められていなくても、業界の慣行に応じて1年に1回や半年に1回など定期的に労務費の転嫁について発注者から協議の場を設けること。特に長年価格が据え置かれてきた取引や、スポット取引と称して長年同じ価格で更新されているような取引においては転嫁について協議が必要であることに留意が必要である。

・ 労務費上昇の理由の説明や根拠資料の提出を受注者に求める場合は、公表資料(最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率、トラック運送業の標準的な運賃など)に基づくものとし、受注者が公表資料を用いて提示して希望する価格については、これを合理的な根拠があるものとして尊重すること。

・ 労務費をはじめとする価格転嫁に係る交渉においては、サプライチェーン全体での適切な価格転嫁による適正な価格設定を行うため、直接の取引先である受注者がその先の取引先との取引価格を適正化すべき立場にいることを常に意識して、そのことを受注者からの要請額の妥当性の判断に反映させること。

・ 受注者から労務費の上昇を理由に取引価格の引上げを求められた場合には、協議のテーブルにつくこと。労務費の転嫁を求められたことを理由として、取引を停止するなど不利益な取扱いをしないこと。

・ 受注者からの申入れの巧拙にかかわらず受注者と協議を行い、必要に応じ労務費上昇分の価格転嫁に係る考え方を提案すること。

【発注者・受注者の双方が採るべき行動/求められる行動】
・ 定期的にコミュニケーションをとること。
・ 価格交渉の記録を作成し、発注者と受注者と双方で保管すること。

 「標準的な運賃」リーフレット (国土交通省)

 「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」 (公正取引委員会)